株式会社髙島屋【百貨店】
●フルキャスト優先採用制度
多様な働き方の選択肢として
有期雇用社員から正社員への
優先採用制度を導入
店舗の販売職種などで、多くの女性社員が働く髙島屋では、自社のパート社員から契約社員を、また契約社員から正社員を優先採用する制度を導入した。これによって同社では再就職女性が契約社員を経て正社員として中途採用される道を開いた。
▼会社概要
モチベーション向上と成果の発揮を期待して優先採用制度を導入
髙島屋では2005年、人事制度改正を実施して雇用区分の全面的な見直しを行い、短時間勤務のパート社員は「クルー」、フルタイム勤務の契約社員は「キャスト」、正社員は「フルキャスト」と呼称が改められた。
この制度改正と合わせて導入されたのが、
(1)パート社員から優先的にフルタイムの契約社員を採用する「有期雇用社員間優先採用制度」と、
(2)契約社員から優先的に正社員を採用する「フルキャスト優先採用制度」、
である。これはさまざまな働き方の選択肢を設けることにより、モチベーションの向上と成果の発揮を期待する目的で導入したものである。
フルキャスト優先採用は評定が「2年連続最上ランク」が条件
同社の雇用区分において、「クルー」と「キャスト」の違いは、単にパートタイムかフルタイムかという労働時間の違いに過ぎないと考えられている。このため「有期雇用社員間優先採用制度」では、同社の「クルー」で、人事評価において標準の評定マークが付いている者は誰でも、制度の対象者として「キャスト」への優先採用を希望することができる。
同社では毎年、人事考課の際、「クルー」に制度利用の意思を確認し、希望者をリストアップしている。
「キャスト」の採用の必要性が生じたときには、対象者の中から部門長の推薦を受けて採用を決定する。
採用予定人数より希望者が多いときには、評価結果や適性を考慮して選考する。
「フルキャスト優先採用制度」では、勤続5年以上の「キャスト」で、人事考課の評定が2年連続で最上ランクに位置づけられており、本人希望と部門の推薦のあることが条件となる。
売場のマネージャーは「フルキャスト」から選ばれるので、「フルキャスト」への優先採用は、面接によって、過去の実績、販売を含めた適性があるか、将来的に売場のマネージャーを務められる素質があるか等を審査し決定する。事前に本人に「社員になって将来どのようなビジョンを描いているか」といった主旨のレポートを提出させ、それをもとに面接を行っている。

優先採用制度は中途採用として位置づけ
この制度による中途採用者は、「有期雇用社員間優先採用」の場合は、時給制・短時間勤務の「クルー」から月給制・フルタイム勤務の「キャスト」へ、「フルキャスト優先採用」の場合は、フルタイム・契約社員の「キャスト」から正社員の「フルキャスト」へと雇用形態が変わる。
優先採用制度は、雇用区分の転換ではなく、中途採用という位置づけである。「フルキャスト」の場合、採用後は大卒新入社員のひとつ上の主任クラス(専任級B)1年目に格付けされる。
基本的に給与はこの採用時の格付けに準じて基本給が決まる。しかし、それ以前の勤続年数の長い人などは、従前の給与を下回ることがないよう調整している。試用期間等はなく、組合員身分や有給休暇、社会保険等は継続できる。
また、他の主任クラスの正社員と同様、研修受講や資格取得による能力開発ポイントの要件を満たすことで、採用から3年後に係長昇進試験の受験資格が得られる。
2005年の制度導入から1年余りの間に、制度を利用して「クルー」から「キャスト」になった従業員は93人にのぼった。
「フルキャスト優先採用」は、2年間の評定結果が審査の対象となるため、導入から2年後の2007年に、最初の採用が行われた。この年、「2年連続で最上ランク」に評定された者は約60人いたが、その中で優先採用を希望したのは10数人であり、実際に制度を利用して「フルキャスト」に採用されたのは6人であった。
この6人は、長年、フルタイムの契約社員としてブランクなく働いてきた従業員である。
制度を運用する上での工夫として、短時間でしか働けない者に配慮して、販売職種については、「セールスクルー」S級の上位等級として、新たに「シニアクルー」を設けた。
これは販売現場で経験を積んだ優秀な人材を、短時間勤務のまま、正社員の職務である売場のセールスリーダー的職務に任用するもので、売場の営業力を高めることを目的として導入された。
働き方の選択肢が広がりモチベーション向上につながる
優先採用制度の導入により、同社では従業員のモチベーションが上がり、職場の意欲向上につながっている。また実際に、制度を利用して「キャスト」から「フルキャスト」に採用された中途採用者を配属することが、周囲の「クルー」や「キャスト」にとっても刺激になっており、職場の活性化に役立っている。
今後数年間は、毎年2~3人、中途採用者全体の1割程度を「フルキャスト優先採用制度」によって採用し、同制度による中途採用者をロールモデルとして、後につなげていきたいと考えている。
今後も、中途採用により多様な人材の雇用を拡大していく意向である。そのための施策として、多様な働き方の選択肢を設けるとともに、制度の活用により、モチベーションの向上を図っていくこととしている。
会社概要
| 創立 |
1919年 |
| 総資産 | 56,025,125,471円 |
| 代表者 | 取締役社長 鈴木弘治 |
| 本社所在地 | 大阪府大阪市 |
| 事業内容 | 百貨店事業 |
| 事業所数 | 20店舗 |
| 従業員数 | 正社員7,206人(男性3,966人、女性3,240人) 正社員以外5,230人(男性476人、女性4,754人) |
| (2007年2月28日現在) | |