モロゾフ株式会社【洋菓子製造・販売】
勤務時間が短くても、
本人の能力や仕事の内容により
正社員に登用する制度を導入
ショートタイム社員制度でパートタイマーの戦力化
ショートタイム社員からフルタイム社員への転換、ライフスタイルにあわせた雇用形態が選べる制度を実現させた。
優秀な人材を埋もらせず、仕事内容や能力、意欲に応じて処遇できるよう制度を導入
モロゾフ株式会社は、2006年に創業75周年を迎えた老舗洋菓子メーカーで、全国各地で洋菓子販売店舗、喫茶・レストランを展開している。パートタイマーを含めると従業員の7割以上が女性で、70年代からパートタイマーも正社員と同じように育児休業制度などが利用できる働きやすい職場環境を整えてきた。阪神・淡路大震災後に社員採用を抑えたこともあり、パートタイマーの戦力化を進めてきたが、2002年に意欲や能力の高いパートタイマーの待遇を改善するために、パートタイマーの能力によりレギュラーパートとエキスパートに区分する「エキスパート制度」を導入。年間40~50名がエキスパートに昇格し、2007年時点でエキスパートは約180名であった。
2007年10月、パートタイマーの戦力化をさらに進めるために、エキスパート制度を廃止し、「ショートタイム社員制度」を導入。以前のエキスパート制度でも、優秀なパートタイマーの正社員登用が行われていたものの、所属部署で欠員がでたときに社内公募を行うというものであった。そのため、能力が高くても正社員に転換できない者がかなりいた。
ショートタイム社員制度では、多様な雇用形態の実現、良質な人材の確保、社員と上級パートの格差解消、パートタイマーのモチベーション向上を目的に、勤務時間が短くても、能力や仕事の内容が社員のレベルに達していれば正社員に登用される。従業員の区分は、フルタイム社員、ショートタイム社員、パートタイマー、嘱託社員であり、フルタイム社員とショートタイム社員は無期雇用、パートタイマーと嘱託社員は有期雇用としている。パートタイマーは、さらにレギュラーパートと繁忙期のみに雇用するシーズンパートに分かれている。
正社員登用だけではなく、ライフスタイルにあわせた働き方も実現できる制度
ショートタイム社員への転換は、レギュラーパートとして勤続3年以上で、上司から一定レベル以上の評価を受けていることが応募条件となる。転換に際しては、筆記・適性試験と部門長面接があり、役員による最終承認を経て、合格者は毎年10月1日付でショートタイム社員に転換する。2007年は、ショートタイム社員制度の導入時の特例措置として、旧制度でエキスパートであった者は、本人の意思により無試験でショートタイム社員に転換した。その結果、2007年10月にエキスパート169名がショートタイム社員に転換した。初の正式の運用となる今年は43名が応募している。
ショートタイム社員制度では、パートタイマーからショートタイム社員(正社員)への転換だけでなく、ショートタイム社員からフルタイム社員、フルタイム社員からショートタイム社員といった3つの転換制度が用意されている。
ショートタイム社員からフルタイム社員への転換は、本人の意思とショートタイム社員としての経験が1年(転換時には1年半)以上であることが条件で、毎年4月1日付で実施される。2009年4月が実質初の運用となるため、まだ転換者はいない。しかし育児休業を利用し休業後に復職するパートタイマーも多く、パートタイマーから転換したショートタイム社員のうちフルタイム社員への転換希望者の割合は高いと思われる。
また、フルタイム社員からショートタイム社員への転換は、勤務形態を多様化し、ワーク・ライフ・バランスの推進を目的としている。年間所定労働時間がフルタイム社員の半分の960時間以上であれば、理由・期間は限定なく何度でも転換が可能である。この制度に基づき、2008年4月にフルタイム社員3名(男性1名、女性2名)がショートタイム社員へ転換した。女性2名は育児が転換理由で1日の時間を短くする短時間勤務、男性1名は介護が理由で月の勤務日数を少なくする短日勤務とした。
意欲向上だけでなく、会社の業績に結びつくことを期待
ショートタイム社員制度導入後は、パートタイマーからは「正社員になれる道ができ頑張りがいがある」、フルタイム社員からも「短時間しか働けなくても会社を辞めなくてよい」など、従業員からの評価は高い。また従業員のやる気が向上し、仕事への姿勢も変わってきたという全社的な効果もあり、制度導入後はショートタイム社員(旧エキスパート)の退職者数も減少している。
制度導入により正社員数が増加し、パートタイマーからショートタイム社員への転換に伴う転換加算や賞与、退職金の増額、さらにフルタイム社員への転換後の昇給等、人件費が増大するので、それが業績に結びつかないと会社としては問題である。今後、同制度が広まり、人材の確保や優秀な人材の発掘につながり、将来的にはショートタイム社員の管理職が現れ、会社の業績に結びつくことを期待している。
また、勤務時間、勤務シフトを固定している店舗や工場では、子育て等で勤務時間に制限のある者の応募条件に応えられないことがあり、パートタイマーの確保が難しくなっている中、より柔軟な勤務体制の工夫・整備が必要である。
会社概要
| 創立 |
1931年6月 |
| 資本金 | 37億3,746万円 |
| 代表者 | 代表取締役社長 川喜多佑一 |
| 本社所在地 | 兵庫県神戸市 |
| 事業内容 | 洋菓子の製造・販売および喫茶・レストラン事業 |
| 事業所数 | 本社オフィス、支店3、営業所2、工場7、物流センター2 |
| 従業員数 | 正社員852人(男性460人、女性392人) 正社員以外1,002人(男性36人、女性966人) |
| (2009年1月1日現在) | |