株式会社東急ストア【総合小売】
新人事体系を導入して
短時間勤務の働き方のまま
正社員になれる制度を導入
戦力層のパート社員を積極活用するとともに、正社員とパート社員の壁をなくし、従業員間で切磋琢磨する風土が生まれる。
就労ニーズに合わせ、勤務時間・日数を選択し、勤務エリアの限定も可能な正社員登用
株式会社東急ストアは昭和31年に設立。一般食品、生鮮食品、衣料品、生活関連商品などを取り扱う総合小売業である。本社は東京都目黒区で、99店舗を有している。
2006年に正社員登用制度を導入したが、当初の制度は「フルタイム型の正社員」に登用することを前提としていた。その後、労働力人口の減少の加速、流通業における採用難の深刻化や労務コストの増大、定着率の悪化、従業員の就労ニーズの多様化などの要因を背景として、「人事体系」の再構築を進め、2008年3月に「新人事体系」を導入した。
これにより、社員区分は正社員と非正社員に大別され、正社員は役職層のM職(マネジメント・スタッフ)、役職候補・一般担当層のG職(ゼネラル・スタッフ)、職種限定層のS職(セレクト・スタッフ)の3つに分類される。M職とG職の職種は限定されないが、S職は職種が限定された「スペシャリスト」で、「販売/生鮮」、「販売/非生鮮」、「管理業務(レジ・サービスカウンターなど)」に限定される。労働時間は、M職はフル勤務で、G職とS職は勤務時間・日数を選択することができ、通勤時間・勤務エリアを限定することもできる。
非正社員はA職(アソシエイト・スタッフ)、アルバイト、嘱託社員の3つに分類される。A職はいわゆる「パート社員」にあたり、アルバイトは学生層、嘱託社員は衛生士、計量士など特殊業務を担当する層である。また「役割(資格)等級制度」を採用し、能力等級と職務等級の2本建ての体系で両者を完全に分離させて運用されている。ただしS職には職務等級はなく、職務グレードのみの設定となっている。
また、「正社員への登用試験制度」という新たな制度の導入により、就労ニーズに合わせ、フルタイム型の正社員だけでなく、いわゆる「短時間正社員」を選択することも可能となった。言葉を変えると、短時間勤務の働き方のままで正社員になれるということである。正社員とパート社員の壁をなくすこと、「フル勤務=正社員」という画一的な考え方の転換を図った。
初年度で64名を登用、2つの正社員登用ルートで職場の重要な戦力を積極登用
正社員登用ルートは2つのコース「G職認定試験」と「S職認定試験」があり、どちらも非正社員「A職(パート社員)、アルバイト、嘱託社員」を対象としている。認定試験の応募条件は、G職は「勤続年数が1年以上」、S職は「希望職種の経験年数が1年以上」で、両者とも「週4日以上1日5時間以上勤務可能な者」、「上長の推薦を得られる者」となっている。
選考方法は、自己申請→上長推薦→筆記試験→人事部面談→役員面接という流れで、筆記試験は一般常識レベルで、A職(パート社員)、アルバイトのみが受験する。また販売/生鮮希望者については技術認定試験が課せられる。認定基準はS職の場合、「本人の希望職種において、豊富な知識・ノウハウと技術・技能を持ち、安定的に実績・成果を上げられる人材」、G職は、「職場で重要な戦力になっており、自らの能力、技能・技術を高め、今後キャリアアップが期待できる人材」としている。
旧制度ではパート社員から正社員への転換はのべ50名であったが、新人事体系がスタートした2008年は、A職(パート社員) 41名(S職へ33名、G職へ8名)、嘱託社員23名(S職へ7名、G職へ16名)が正社員に転換した。転換者の平均年齢は、S職転換者が41・7歳、G職転換者が34・5歳で、S職転換者に主婦層が多い。また、正社員のM職、G職、S職は、相互移行が可能な仕組みとなっていて、正社員$名がG職からS職に移行した。
登用試験へのチャレンジを促進し、従業員間で切磋琢磨する風土が生まれることを期待
正社員への登用試験制度導入の効果として、
(1)採用時のアピールポイントとなる、
(2)従業員の定着率向上が期待できる、
(3)従業員の中で競い合いの精神が芽生える、
という3点があげられる。特に(3)については、「正社員はパート社員の上の立場」という既成概念が覆されることで、従業員間で切磋琢磨する風土が生まれることを期待している。また正社員に転換した者が学卒の新入社員(G職)を指導するなど、後進の教育面における活躍も評価できる。
2008年は、人事制度の改定期ということもあって、認定試験へのチャレンジは、本人の意思を最大限尊重したため、正社員レベルに達していない者でもチャレンジするケースが多く、結果的に不合格者が多くなった。また、受験者数が予想より下回り、人事担当者がパート社員から聞き取りを行ったところ、人事異動や残業の問題、パート社員同士の人間関係などが影響していることもわかった。戦力となっているパート社員を正社員に積極登用していくためにも、認定試験へのチャレンジを促進し、不合格者のフォローをどのようにしていくかが、今後の課題となっている。
会社概要
| 創立 |
1956年10月 |
| 総資産 | 108億3,800万円 |
| 代表者 | 取締役社長 高橋一郎 |
| 本社所在地 | 東京都目黒区 |
| 事業内容 | 総合小売業 |
| 事業所数 | 店舗数99店 |
| 従業員数 | 正社員2,176人(男性1,765人、女性411人) 非正社員9,556人(男性2,220人、女性7,336人) |
| (2008年8月現在) | |