財団法人 三友堂病院【一般病院】
短時間正職員制度の導入で、
離職率の低下と人材の確保を実現
職員が互いに多様な勤務形態を理解し、働き続けやすい職場環境を整えることで、職員の定着と看護ケアの質向上につながる。
▼会社概要
慢性的な看護師不足を解決するために、短時間正職員制度を導入
三友堂病院は1886年設立の、病床数190床、診察科23科の病院である。同病院はこの他にリハビリセンター、訪問看護ステーション、居宅介護センター、通所リハビリテーション、看護専門学校の5施設を有している。
同病院の職員は、314名で、社員区分別には、正職員292名とパート職員22名となっている。
2006年に診療報酬制度が改定され、看護師配置基準の変更が行われた影響を受けて、全国で看護師の人材確保競争が激化し、地方にある同病院でも看護師の流出が増え、離職状況が深刻になっていた。そこで、職場に根付く人材を育てるよう、同院は2008年4月から新たに「短時間正職員制度」を実施して、正職員の一形態として、社員区分の中に週20~40時間未満勤務の短時間正職員を設定した。短時間正職員は、292名中14名である。(2009年2月現在)
短時間正職員制度導入の準備作業は人事部と看護部で開始したが、当初、看護部から、正職員から短時間正職員へ転換する者が続出するのではないかと、制度導入を懸念する意見が出された。「看護師の流出を防ぐには、多様な勤務形態による就業促進が必要な状況にあること、職場として多様な勤務形態を理解し、互いに思いやる風土を高め、働き続けやすい職場環境を整えることが重要である。その結果、仕事と生活を両立し、仕事を継続できる看護師が増え、看護ケアの質も向上する」と理解を求めて説得した。
準備からまもなく、2008年2月中旬には新聞と看護師向け情報誌に募集記事を掲載するとともに、病院内のパート職員と正職員に説明を開始した。3月には病院内のパート職員を対象とする採用試験、及び一般募集による採用試験をそれぞれ実施した。
制度の利用条件は、「週20時間以上の勤務」のみ
短時間正職員制度の対象は、同病院に勤務する職員全員(正職員、パート職員)と外部からの一般応募者で、応募条件は、「週20時間以上の勤務」ができること。週に何日出勤をして、あるいは1日何時間働くかは、個々の事情に応じて決定する。
選考方法は「筆記試験」と「面接」で、筆記試験は、小論文と適性検査が行われる。面接は人事部門長と各職種の部門長が担当し、1人当たり10~15分程度行われる。一般応募者についても経験を重視し、同様の選抜方法が実施されている。
正職員から短時間正職員、短時間正職員から正職員への転換は、「勤務変更届」で行われ、ライフイベントに柔軟に対応できるようになっている。
2009年9月現在、同院には17名が短時間正職員として勤務している。全員看護職員で、その内訳は、一般採用者が11名、正職員から短時間正職員への転換は2名、パート職員から短時間正職員への転換が4名である。
この他にパート職員から短時間正職員となり、その後、正職員となった看護職員が2名いる。こうしたパート職員から短時間正職員を経由した正職員への転換は、パート職員からいきなり正職員に切り替わることへの抵抗感を和らげており、またキャリアアップのモデルにもなっている。
正職員の給与は、職責、役割、成果等により基本給が決定されている。賞与は基本給と業績に応じて支給額がそれぞれ決められる。短時間正職員も正社員と同様の契約形態、処遇と待遇となっているものの、処遇面の基本給、賞与、退職金の支給水準は、短時間正職員が不利にならないよう、また正職員からの理解も得やすいよう短時間係数(時間比例)の形になっている。ただし、賞与の業績に連動する部分は、勤務時間の長短に関わらず業績に応じて支給額が決められる。
働きやすい職場環境と手厚い処遇に評価 今後は、シフト管理と調整が課題
短時間正職員制度の導入により、当初の目標であった「離職率の低下と人材の確保」が実現しつつある。離職率の低下については、2008年度の目標であった11%を達成し、10%を下回った。また、一般採用の短時間正職員も十分なキャリアを持っているので、日勤の現場の即戦力となっている。
一方、現場で働く短時間正職員からも、スタッフ同士が気遣いし合える働きやすい職場環境であること、手厚い福利厚生や給与などを評価する声が寄せられている。
今後の課題としては、現場でのシフト管理、研修時間の調整がある。短時間正職員は日中の勤務としているので、夜間勤務の負担がフルタイム正職員にかかること、また、現場の短時間正職員を管理する師長からもシフトを組むなど管理業務の負担増加の声があがっている。そこで、同院はこれまで短時間正職員の勤務日数や曜日の変更は随時受け入れてきたが、管理の負担を減らすため、今年度から変更申請を4月と10月の年2回に変更したほか、夜間の人員を確保するため2008年12月から夜勤のナースの募集を始めている。
また研修についても、宿泊研修は通いで受講できる体制を整えるなど、できる限り短時間正職員の都合を考慮しているものの、18時以降に行われる集合研修などへの出席率は悪い状況にある。欠席者には出席者が後日説明して対処するものの、短時間正職員にも時間調整の努力を促すため、今後は出欠状況をポイント制にして評価対象にすることを考えている。
会社概要
| 創立 |
1886年 |
| 基本金 | 30万円 |
| 代表者 | 理事長 仁科盛之 |
| 本社所在地 | 山形県米沢市 |
| 事業内容 | 一般病院 |
| 事業所数 | 6施設 |
| 従業員数 | 314名 |
| (2009年2月現在) | |