社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院【一般病院】
短時間勤務制度の導入で、
仕事と家庭の両立ができるようになり
看護職の職場定着が進んでいる
短時間勤務制度の利用者は常勤者なので、非常勤職員よりモチベーションが高く、現場でも評価が高い将来、制度利用が必要になったら使いたいという職員も多い
▼会社概要
多様な雇用形態の一つとして短時間勤務制度を導入
社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院は、1973年に設立された病床数203床(ICU、CCU、SCU、HCUを含む)の急性期高機能病院として、地域の中核病院としての役割を担っている。
職員数は約500名であり、このうち看護職員は常勤199名(うち1割弱が男性)、非常勤(女性のみ)28名である。看護職員の平均年齢は30歳であり、勤続年数は平均5年、経験年数は平均7年である。民間の急性期病院ということもあり看護師の定着率はそれほど良くない。そのため看護職の確保、定着のために様々な工夫を試みており、多様な雇用形態の導入もその取り組みの一つである。同院ではかなり以前から日勤専従、夜勤専従といった雇用形態を導入しており、また非常勤の中にはフルタイムに近い働き方をしている人がいた。さらに社会風潮的に短時間看護職への関心が高まってきたため、2008年12月に短時間勤務制度の導入に踏み切った。
その結果、それぞれの看護職が仕事と家庭との両立を実現できるように、常勤看護職として4つの雇用形態を設定している。
① 通常勤務:原則、二交替制勤務
② 日勤専従:日勤のみに従事する看護職、勤務時間は8:30~17:00
③ 夜勤専従:夜勤のみに従事する看護職、勤務時間は16:30~翌日9:00、月9回
④ 短時間勤務:1日4時間以上6時間以下の勤務
そのほかに社員区分としては、希望する勤務日数と時間数を自由に選択できる非常勤看護職がある。
短時間勤務者は看護師配置基準の追加人員として配置
2009年11月現在、日勤専従者3名、夜勤専従者24名、短時間勤務者3名となっている。
短時間勤務者3名のうち、2名は採用当初から短時間勤務者として制度を利用、1名は、制度の導入に伴い、通常の2交替勤務の常勤看護師から短時間勤務に変更した者である。また、そのうち2名が育児を申請理由として4時間勤務、1名が結婚と介護を理由に6時間勤務としている。
短時間勤務制度は、育児・介護・自己啓発などの必要に応じて申請が可能である。雇用形態の変更は、非常勤から常勤への変更も含め申請が認められた翌月の16日からとなる。申請があった場合にはまず上司が面談し、とくに問題がない場合には上司が申請理由や時期を看護部長に打診し、最終確認として看護部長が本人と面談する。
非常勤看護職の勤務形態は個々の申し出に応じて対応しているが、 1日4時間勤務、夜勤なしのパターンが最も多い。夏休みなど、子どもの長期休暇期間中は、非常勤看護職は、勤務日数を大幅に減らしたり、週の何日かのみ勤務したりするのに対し、短時間勤務の場合は、年間の労働日数は原則、通常勤務者と同様で、原則、夜勤や残業はない。給与は日勤専従者の基礎給をベースに勤務時間数に応じた金額となっており、その額を基準に賞与、退職金を支給している。
看護師配置基準では、入院患者10人に対して看護師1名の配置が必要であるが、同院では、その部分については通常勤務、日勤および夜勤専従者を配置し、短時間勤務者や非常勤看護職は追加の人員配置としていることから、多様な勤務パターンの人がいても、シフトを組む面での問題はとくにない。なお短時間勤務者や非常勤看護職は特定の病棟に偏ることがないよう各病棟に満遍なく配置している。
復職支援や制度利用者のヒアリングを行いながら、看護師の確保と定着をはかる
結婚や育児など様々な理由で看護師の仕事から離れた人が再び看護の現場に復職する場合、看護業務のブランクに対して不安を抱えている人が少なくない。そこで、同院では、2007年より復職を希望する看護職の資格保有者を対象に、無料の復職支援セミナー「カムバックナースセミナー」を2ヶ月に1回のペースで実施している。セミナーの募集は、病院のホームページや地域のタウン誌で広報している。セミナーの内容は、実際に病棟を見学し、注射や電子カルテ等の医療技術を体験してもらう1日コースとなっている。
ブランクのある看護職が復職する場合、基本的な看護技術があれば業務に支障ないため、復職に際して病院側から特に求めるスキルはなく、条件は特に提示していない。セミナー参加者はセミナーに参加する時点で既に復職することを想定しており、看護技術についてもほとんど問題ない。毎回のセミナー参加者数は6名程度であり、その半数以上がその後、同院に就職している。離職後3~5年経過し、業務内容も覚えており、年長の子どもが幼稚園、年少の子供が1歳前後といった者たちが一番多く、常勤ではなく非常勤看護職として復職する人が多い。
短時間勤務制度導入の約半年後にヒアリングを実施したところ、制度利用者より「子育てと仕事を両立できるのでよかった」との声があった。また短時間勤務者は常勤職であり、勤務時間数は短いが、非常勤職に比べて仕事に対するモチベーションが高く、周囲からも評価されている。
院内で働いている看護職員の場合には将来、自分がその立場になった時に短時間勤務も可能だと認識している。同院のホームページを見たと言う院外からの問合せでは、短時間勤務が可能である病院で是非、働きたいといった要望が多く、看護職の確保につながっている。すぐに短時間勤務制度を利用したいというよりは、今後、結婚等の予定があり、そういう制度が用意されている病院を探しており、将来必要になったら使いたいということで入職の段階では通常の二交替勤務を選択する人が多い。
また、制度の導入に伴い、各部門で短時間勤務の場合に担当可能な業務を洗い出してもらったが、短時間勤務制度の利用者からは「もっと色々な業務ができる」という声があり、受け入れ側が考えていた業務内容と短時間勤務者が考える業務内容に少し乖離がある。その部分の見直しを現在、検討中である。
その他、同院では、研修の費用や交通費を病院が負担するなど資格・研修に対する支援にも力を入れており、本人からの申請があれば雇用形態に関係なく、誰でも受講可能であるが、短時間勤務や夜勤専従の場合には勤務形態上、研修等を受講しづらいということから、現状で研修の受講を申請する者がおらず、今後の検討が必要である。短時間勤務制度を導入してまだ約1年ということもあり、短時間勤務者を役職への昇進対象にするかは未定である。短時間勤務制度については今後も半年ごとにヒアリングを行い、随時、制度を見直していく方針である。
会社概要
| 創立 |
1973年4月 |
| 基本金 | 3億4,400万円(基本財産) |
| 代表者 | 院長 石井 暎禧 |
| 本社所在地 | 神奈川県川崎市 |
| 事業内容 | 一般病院 |
| 事業所数 | 1施設 |
| 従業員数 | 約500名 |
| (2009年11月現在) | |